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62話 虚栄心の始まり

last update Fecha de publicación: 2026-03-23 10:55:40
私、颯太、湊は幼馴染だ。親同士仲が良くて……というよりは、大人の事情が分かる今となれば、私の家である佐伯家も、湊の家である久遠家も、颯太の家である森崎家に仕事の融通をしていた。子供同士には上下関係は無いけれど、それでも財力の差というのは、如実に表れていた。そこへ入って来た愛沢くるみなら、もっとそれを感じただろう。

「……そう言えば」

私はふと思い出した事があった。

「何かあったか?」

高嶺遼大がそう聞く。

「確か、私たちが医大に入った頃、颯太も愛沢くるみも、別の大学に進学したわよね」

私がそう言うと、今度は湊が聞く。

「それが何か?」

私はその時、ふと感じていた事を思い出して、少し可笑しかった。

(そうよ、どうして気付かなかったの)

私は少し笑いながら言う。

「別の大学だったから愛沢くるみの事は良く知らなかったけれど、今、考えればあの頃の愛沢くるみはお金のかかる物ばかり、持ってたわよね……ブランドもののバッグや一流ブランドの服や靴……到底、家政婦の娘が持つ事は出来ないような物ばかり」

そう言って湊を見る。

「湊が愛沢くるみに全部を買い与えていた訳では無いんでし
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  • 跪くのはあなたです 流産の夜、私を選ばなかった夫は五年後、後悔する   119話 警告音

    どうして支局長の南野氏では無く、倫理審査委員長の千堂彰が案内するのか。誰もがきっとそう思っているに違いないのに、誰もそれを言い出せないくらいには、千堂彰のここでの力が強いのだろう。通常、視察はメインのフロアやメインで使っている研究ラボなどを巡回して、成果物の確認や現場の研究員たちに直接話を聞くとかで終わる場合が多い。要は表面上、上手くいってますを見せられて帰るだけという様式美がそこには存在する。遼大は研究施設に入る前に、ジェラルミンケースからタブレットを取り出し、それを見ながら歩いている。そして当初の予定通り、視察は進み、メインラボへの視察が終わった時、それは起こった。ビーーー!ビーーー!急に鳴り響く警告音。誰もが周囲を見回し、その警告音がどこで鳴っているのかを確認しようとしている。「何の音だ!」千堂彰が怒ったように言う。その表情を見て私はピンと来た。(これはもしかして……)遼大もきっと同じ事を考えていただろう。私と遼大は顔を見合わせて頷き合う。「すみません、どこかで誤って警告音が鳴ってしまっているようです」千堂彰が取り繕うようにそう言う。「早くこの誤作動した警告音を切れ!!」千堂彰が焦ったようにそう言う。「千堂さん」遼大が千堂彰を見て言う。「ここは研究ラボです。こんな警告音が鳴るとしたら、それは大惨事が起こっている可能性も視野に入れなくてはいけないのでは?」遼大にそう言われて千堂彰は慌てている。遼大はフロアに居る全員に対し、大きな声で言う。「皆さん、とりあえず原因が分かるまでは建物の外へ退避してください」本部の、それも最高執行責任者がそう言うのだ。誰もそれには逆らえない。たとえこの日本支局が千堂彰に牛耳られているとしても、それは最高執行責任者の前では無力も同然だった。「いや、そこまでしなくても大丈夫ですよ」薄っすらと額に汗をかきながら千堂彰がそう言う。遼大はそんな千堂彰に言う。「大切な研究員たちに何かがあってからでは遅いんですよ」そう言って遼大が更に言う。「支局長! 皆さんを退避させて!」その言葉に弾かれたように南野氏がメインラボの中に居る研究員たちを誘導し始める。「システム部へ行くぞ」遼大が私にそう言う。そう言われて頷き、遼大と共にメインラボを出る。「待ってください! 勝手にシステム部などに行かれては困りま

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    last updateÚltima actualización : 2026-04-05
  • 跪くのはあなたです 流産の夜、私を選ばなかった夫は五年後、後悔する   54話 甘い毒からの脱却

    そう言うと新見医師が慌てて言う。「そういう意味じゃ……」私はそんな新見医師に笑う。「分かってるわ、大丈夫」そして決意を新たにする。「変えなくちゃいけないわよね」私は手を洗い終え、歩き出す。「燈先生……?」そう言う新見医師に微笑み、私は言う。「お疲れ様」その場を出る。すると私と一緒に術室に入った人たちが一斉に私を見る。「お疲れ様でした」私がそう言うとその場の全員が一斉に頭を下げる。「燈先生、お疲れ様でした」◇◇◇「湊くん、出来たぞ」高嶺遼大が自身で配合した“解毒薬”を持って来る。「もう出来たのか?」そう聞くと高嶺遼大が笑う。「こういうのは得意なんだ、だから

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  • 跪くのはあなたです 流産の夜、私を選ばなかった夫は五年後、後悔する   52話 渾身の演技と女王の油断

    くるみはいつから俺……いや、俺たちに罠を張り巡らせ始めたんだろう。高嶺遼大に大学時代にはもう罠は張られていたのかもしれないと言われ、そう思う。愛沢くるみは佐伯家の家政婦をしている愛沢幸子の娘。愛沢くるみが俺たちの間に入り込んだのは3歳か4歳の頃だったと記憶しているが。その頃は愛沢くるみも使用人の娘として、振る舞っていたし、そんな愛沢くるみを誘い出し、遊びに連れて来たのが燈だった。(いつからだ……? いつから……)そう思い返そうとすると、頭が痛くなる。顔を顰めて頭痛を我慢する。「大丈夫か?」高嶺遼大にそう聞かれ、俺は目を閉じたまま言う。「あぁ、ちょっと頭痛が……」高嶺遼大は柔らか

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